特集 血液疾患の真菌感染症
6.トリコスポロン症の診断と治療
時松一成
1
Issei Tokimatsu
1
1神戸大学医学部附属病院 感染制御部 部長/特命准教授
pp.1699-1707
発行日 2016年11月30日
Published Date 2016/11/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201612073
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トリコスポロン症の原因はTrichosporon asahiiで,夏型過敏性肺炎と深在性真菌症に関与し,住居環境からも分離される。本症は稀な真菌症であるが,診断に至っていない症例も多く,真菌血症ではカンジダ症に次いで多い。好中球減少が重要なリスクファクターであり,発熱性好中球減少症の原因の一つである。ブレイクスルー感染症としての発症が多い。補助診断ではβ-D-グルカン検査,クリプトコックス抗原検査が利用できる。アゾール系薬の投与,好中球機能の回復,血管内留置カテーテルの抜去が,本症の予後を改善する。