特集 小児造血器腫瘍の特色 ~分子的理解から治療開発まで~
4.ダウン症に伴う急性巨核芽球性白血病の分子的理解と臨床応用
照井君典
1
,
伊藤悦朗
2
Kiminori Terui
1
,
Etsuro Ito
2
1弘前大学大学院医学研究科 小児科学講座 准教授
2弘前大学大学院医学研究科 小児科学講座 教授
pp.1533-1540
発行日 2016年10月30日
Published Date 2016/10/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201611049
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ダウン症の急性巨核芽球性白血病(DS-AMKL)は新生児期の一過性異常骨髄増殖症(TAM)と関連しており,両者のほぼ全例でGATA1変異が認められる。網羅的遺伝子解析の結果,TAMからDS-AMKLへの進展には,コヒーシン複合体,エピゲノム制御因子,シグナル伝達分子などの遺伝子変異が重要であることが明らかになった。DS-AMKLの予後因子は十分解明されておらず,再発例の予後は不良である。現在,GATA1変異などを利用した微小残存病変の解析が試みられている。新規治療薬の候補としては,HDAC阻害薬やWee1阻害薬,オーロラキナーゼ阻害薬などが報告されている。