特集 同種造血幹細胞移植の多様性:細胞ソースと血縁・非血縁
1.本邦における細胞ソース別,ドナー別にみた移植成績の比較 4)原発性免疫不全症
森尾友宏
1
Tomohiro Morio
1
1東京医科歯科大学大学院 発生発達病態学分野 教授
pp.667-671
発行日 2016年4月30日
Published Date 2016/4/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201605051
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
本邦においては500症例以上の原発性免疫不全症に対して造血細胞移植が行われており,その成績(5年生存率)は近年では約70%程度である。重症複合免疫不全症やWiskott-Aldrich症候群の症例数が多いが,両疾患では臍帯血移植も選択され,その成績は血縁HLA合致,非血縁間HLA合致骨髄移植とほぼ同等の成績である。慢性肉芽腫症やX連鎖高IgM症候群,X連鎖リンパ増殖症候群では骨髄移植が選択されることが大半である。移植においては生存率のみではなく無病生存率や合併症を重視した戦略が必要であり,また今後は遺伝子治療との優劣が比較される時代になると予想される。