特集 成人T細胞白血病(ATL)研究の現状
6.ATLの化学療法と新規治療の開発
塚崎邦弘
1
Kunihiro Tsukasaki
1
1国立がん研究センター東病院 血液腫瘍科 科長
pp.531-538
発行日 2016年3月30日
Published Date 2016/3/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201604061
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難治性だが多様な病態をとるATLに対する治療戦略としては,watchful waiting(WW)から同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)まで幅広い。アグレッシブATLは強力な化学療法とallo-HSCTでその予後は改善しつつあるが,依然として他の造血器腫瘍に比べて不良である。インドレントATLに対しては現在も急性転化するまでWWが標準治療であるが,その長期予後は必ずしも良好ではない。ATL患者が高齢化する中,強力な治療とWWの中間に位置する治療法の開発が,臨床・分子病態によるより良い層別化のうえで,有望な新規治療法を用いて望まれる。一方,病因ウイルスのHTLV-1感染予防法がほぼ確立したのに対して,ATL発症リスクの高いHTLV-1キャリアに対するその発症予防についての介入法は未開発である。