Topics 「身近な話題・世界の話題」(132)
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
谷英樹
1
,
西條政幸
2
Hideki Tani
1
,
Masayuki Saijo
2
1国立感染症研究所 ウイルス第一部 主任研究官
2国立感染症研究所 ウイルス第一部 部長
pp.1656-1659
発行日 2014年10月30日
Published Date 2014/10/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201411080
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近年,新規のマダニ媒介性ウイルスによる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は,新興ウイルス感染症の1つとして注目されている。原因ウイルスであるSFTSウイルスに感染すると,発熱,消化器症状等を呈し,末梢血液検査では白血球および血小板減少が認められ,さらに重症化すると多臓器不全に陥り死亡する。2011年に中国でSFTSの流行が報告され,日本でも2012年の秋に多臓器不全で死亡した患者がSFTSに罹患していたことが明らかにされた。その後,西日本で多くの発生例が報告されており,マダニの吸血により感染することを考えると,誰しも対岸の火事では済まされない。本稿では,明らかにされつつある日本におけるSFTSの特徴と検査・診断方法について概説した。