特集2 成人血友病患者における周術期管理の実際
2.血友病性関節症の手術〈2〉:血友病肘関節滑膜切除術
島田幸造
1
,
轉法輪光
2
Kozo Shimada
1
,
Ko Temporin
2
1大阪厚生年金病院 整形外科 部長
2大阪厚生年金病院 整形外科 医長
pp.405-413
発行日 2014年2月28日
Published Date 2014/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/5201403089
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標的関節として出血を繰り返す血友病性肘関節に対して,滑膜切除は出血頻度を減らす効果がある。これを鏡視下に行うことで,術後の可動域は多くの場合減少することなく,肘の関節機能は保たれた。インヒビターを有しない症例では術前に凝固因子の必要投与量を計算し,凝固因子活性とAPTTをモニターしながら持続投与とボーラス投与を組み合わせた周術期管理が有用で,その経過を報告した。インヒビター症例の凝固管理は容易ではないが,血液・凝固系の専門医がその支援・管理を行える体制で行われれば,外科治療も可能になりつつある。出血頻度が減ることで関節症の進行を遅らせる可能性があり,本手術は関節適合性が破綻する前の段階でされるのが望ましい。