臨床経験
血友病性偽腫瘍の手術治験例
細谷 俊彦
1
,
宇沢 充圭
1
,
石井 良章
1
Toshihiko HOSOYA
1
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
pp.521-529
発行日 1973年6月25日
Published Date 1973/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904855
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
血友病性偽腫瘍の外科的処置は,従来禁忌とされていたが,今世紀に入りStarker(1918)は,14歳男子に発生した大腿部偽腫瘍に対し穿刺,吸引を行ない.外科的処置の先鞭をつけた.しかし今日までの報告は欧米でも数十例,本邦ではわずか数例を数えるに過ぎず,しかも予後を明記しているものは非常に稀である.われわれは最近,大腿に生じた巨大な血友病性偽腫瘍の摘出術を行ない,3年3ヵ月の経過を観察する機会を得たので,本症の外科的処置を行うにあたり,細心の注意と周到な準備とをもつてすれば道の開かれることを指向するとともに,血友病患者における手術侵襲の問題を中心に論述する.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.