特集 造血器腫瘍のゲノム解析
6.B細胞リンパ腫のゲノム異常
千葉滋
1
Shigeru Chiba
1
1筑波大学 医学医療系 血液内科 教授
pp.65-72
発行日 2013年12月30日
Published Date 2013/12/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201401065
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B細胞リンパ腫のゲノム研究は,染色体転座による免疫グロブリン遺伝子のパートナー遺伝子同定にはじまり,その後のNF-κBシグナル経路遺伝子群の解析などによって変異の解析が進展した。2010年代に入ると網羅的な大規模シークエンス解析により,NF-κB経路遺伝子の変異情報が蓄積する一方,エピゲノム制御に関わる複数の遺伝子をはじめ,数百にもおよぶ遺伝子の変異が同定された。最も頻度の高いびまん性大細胞型B細胞リンパ腫は病理学的にも臨床的にも多様だが,ゲノム異常の観点からはさらに多様性が高いことが示されつつある。今後,根治のために真に標的にすべき分子(経路)がどのようにフォーカスされていくか注視したい。