特集 改訂造血器腫瘍WHO分類2016 ~概要と意義~
5.インドレントB細胞リンパ腫
伊豆津宏二
1
Koji Izutsu
1
1虎の門病院 血液内科 部長
pp.393-400
発行日 2017年2月28日
Published Date 2017/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/5201703057
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WHO分類第4版2016年改訂では,インドレントB細胞リンパ腫について疾患分類の枠組みの大きな変更はないが,2008年以降に明らかになった知見を受けて,いくつかの改訂がなされる。まず,リンパ形質細胞性リンパ腫/原発性マクログロブリン血症におけるMYD88遺伝子L265P変異や,ヘアリー細胞白血病におけるBRAF遺伝子V600E変異が疾患を特徴づける遺伝子異常として記載された。これらは今後,日常診療でも診断時に必要な検査となっていくだろう。また,リンパ腫・白血病の前駆病態の臨床像が解明されてきたことを受けて,これらの名称が変更されたり,臨床的な経過観察の対象が区別されるようになった。例えば,モノクローナルB細胞増殖症ではモノクローナルB細胞500/μL以上の場合を慢性リンパ性白血病への移行のリスクがある経過観察の対象として,それ未満の場合と区別する。また,これまでin situ濾胞性リンパ腫(FL)とされていた病態は,リンパ腫には至っていないリンパ増殖性疾患として,in situ follicular neoplasiaと名称変更がなされた。その他,FLの特殊型(十二指腸型FL,小児型FL)の名称が変更された。