特集 HLA Revisited
9.iPS細胞バンクとHLA
中島文明
1
Fumiaki Nakajima
1
1日本赤十字社 中央血液研究所 研究開発部 参事
pp.1105-1110
発行日 2013年7月30日
Published Date 2013/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/52013081105
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iPS細胞(induced pluripotent stem cell:人工多能性幹細胞)を利用する再生医療は,多くの患者が公平に恩恵を受けるシステムが必要である。免疫反応を回避する手段として,HLAホモ接合型ドナーでiPS細胞バンクを構築することが有効である。当面の目標として,HLAハプロタイプ頻度上位30種類のHLAホモ接合型細胞株を確実に確保することが重要と考える。上位30種類の日本人適合率は60%程度あり,細胞株の確保も可能と思われる。これ以上高い適合率で推計すると,HLA頻度分布とHLA型の細分化が原因で生じる架空の数値目標になり,細胞株の確保が事実上困難になる。