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原典 1)Bennett JM, Catovsky D, Daniel MT, et al:Proposals for the classification of the acute leukemias. Br J Haematol 33:451-458, 1976. 2)Bennett JM, Catovsky D, Daniel MT, et al:Proposals for the classification of the myelodysplastic syndromes. Br J Haematol 51:189-199, 1982. 要旨 常識は時代とともに変わる。現在からはおよそ想像もできないが,なんと40年ほど前までは急性白血病の病型分類はもとより,急性白血病の診断基準すら世界中のどこにもなかった。本来は急性白血病の分類を検討する目的で結成された欧米血液学者7人のグループ(French-American-British group:FABグループ)が,白血病の病型分類と診断基準案を1975年に発表した1)。それ自身が画期的な壮挙であることは言を俟たない。同時に,彼らは白血病近似の病態の存在を確認し,芽球増加性不応性貧血(refractory anemia with excess of blasts:RAEB)と慢性骨髄単球性白血病(chronic myelomonocytic leukemia:CMML)とをdysmyelopoietic syndromeと呼んだ。同じFABグループは,さらに1982年に,今日のmyelodysplastic syndrome(MDS)分類の基礎となる5病型を新たにMDSと呼ぶことを提案した2)。ここに至って,MDSの病名や概念が誕生したのである。 代表的難治性血液病であるMDSの概念誕生とともに,なぜMDSという名称に落ち着いたのか,病型分類の変遷などに焦点を当てて述べる。