今月の主題 白血病—最新の知見と治療の進歩
特殊な白血病の病態
骨髄異形成症候群(MDS)—FAB分類(1982)について
安達 満雄
1
,
長村 重之
1
,
井口 祐三
1
,
中野 優
1
1東京医科大学・第1内科
pp.1560-1562
発行日 1985年9月10日
Published Date 1985/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219916
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
骨髄異形成症候群(Myelodysplastic syndromes,MDS)は一般に輸血以外のあらゆる治療に不応性の貧血を呈し,自覚症状に乏しく,潜在的に発症し,数カ月から数年と慢性的に経過し,多くは致死的(lethal)な運命をたどり,50歳以上での発病が多い.末梢血液所見で赤芽球系,顆粒球系および巨核球系のうち2系統以上の異形成(dysplasia)〔形態異常(dysplastic change)〕を呈する,いわゆる血球の質的異常と,上記造血血球系の1系統〜3系統の血球減少,すなわち数量的異常とを呈する.末梢血血球数減少にもかかわらず骨髄では正形成または過形成(normoまたはhypercellular)を呈する.この点,著明な低形成性骨髄を特徴とする典型的再生不良性貧血とは異なる.症例によって骨髄および末梢血液中に芽球(blast cell)が出現し,時には急性骨髄性白血病(AML)へ移行する症例が認められることから,明確な急性白血病(overt leukemia)との境界領域にある疾患群と考えられる.1982年,FABグループ(The French-American-British Cooperative Group)により急性白血病のFAB分類の(4回目の)改訂が行われ,上記疾患群をMDSとして新しく分類した1).
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.