特集 注目されるnatural killer T(NKT)細胞
4.NKT細胞制御による移植膵島生着
安波洋一
1
Yohichi Yasunami
1
1福岡大学医学部 再生・移植医学 教授
pp.929-934
発行日 2013年6月30日
Published Date 2013/6/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201307929
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
膵島の経門脈的肝内移植後早期(24時間以内)に50%以上の移植膵島が破壊され,喪失する。この機序として,以下の経路を明らかにした。〈1〉 門脈内に移植された膵島は,虚血(低酸素)により細胞膜に存在するNa+/Ca2+交換体(NCX)を介してCa2+が細胞内に流入し,細胞障害を招来する。〈2〉 障害された移植膵島よりHMGB1が放出され,肝内免疫反応を惹起する。〈3〉 HMGB1は樹状細胞-NKT細胞-好中球を活性化,IFN-γを産生し,移植膵島は破壊される。この過程にNKT細胞は必須の役割を担っている。移植膵島早期拒絶の制御法として,NCX-HMGB1-樹状細胞-NKT細胞-IFN-γを標的にした新規治療法を見出した。