特集 HIV感染症2013 ~現状と展望~
5.HIV薬剤耐性の現状
杉浦亙
1
Wataru Sugiura
1
1国立病院機構 名古屋医療センター エイズ治療開発研究センター センター長
pp.797-803
発行日 2013年5月30日
Published Date 2013/5/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201306797
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薬剤耐性ウイルスの出現はHIV-1感染症治療の大きな障害であったが,抗HIV薬の進歩により薬剤耐性による治療失敗例は激減し,今日では治療症例のわずか1.5%までに低下している。ARTにおける薬剤耐性HIV症例が減少する一方で,今度は薬剤耐性HIV株による感染拡大が問題となりつつある。わが国では新規HIV/AIDS診断症例の10%に何らかの薬剤耐性変異を有する症例が観察される。新薬の登場などを受けて今後も薬剤耐性HIVの動向は変化していくと推察されるが,状況の把握に努めて至適治療を実践していくことがHIV/AIDSの「cure(根治)」と「eradiation(根絶)」の実現につながっていくと考えられる。