特集 川崎病アップデート ~病因・病態論の推移と展望~
Ⅰ.川崎病の疫学 ~第24回川崎病全国調査成績の概要~
中村好一
1
Yosikazu Nakamura
1
1自治医科大学公衆衛生学教室教授
pp.1374-1382
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.20837/32018111374
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1970年から2年に1度の頻度で川崎病全国調査を実施し,わが国における川崎病の疫学像を明らかにしてきた。1990年代半ばより患者数/罹患率は上昇傾向にある。わが国では1月に患者が多く,夏場にも若干の増加があるが,諸外国では異なる時期に患者が多発している。乳児早期には罹患率は低く,6~11カ月齢にピークを持ち,以降は年齢と共に低下するという一峰性のカーブが観察される。これらの疫学像から,「感受性がある宿主に対して複数の微生物の1つがトリガーとなって働き,川崎病が発症する」という仮説が形成される。