原著
本邦における喘息患者の症状および支障の認識に関する研究~既存インターネットアンケート調査の事後的分析~
玉置 淳
1
,
保澤総一郎
2
,
堀口高彦
3
,
北村雅裕
4
,
永澤美和
4
,
東田有智
5
Jun Tamaoki
1
,
Soichiro Hozawa
2
,
Takahiko Horiguchi
3
,
Masahiro Kitamura
4
,
Miwa Nagasawa
4
,
Yuji Tohda
5
1東京女子医科大学内科学第一講座主任教授
2広島アレルギー呼吸器クリニック理事長/統括院長
3藤田保健衛生大学呼吸器内科学Ⅱ講座教授
4アストラゼネカ株式会社メディカル本部
5近畿大学医学部内科学教室呼吸器・アレルギー内科部門教授
pp.398-412
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201803398
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目的:純粋想起型と助成想起型の質問が喘息患者の症状・支障の認識に及ぼす影響を検討する。 方法:1年未満に受診歴のある喘息患者を対象としたインターネットアンケート調査データを事後的に解析した。有効回答数は788人であった。 結果:喘息患者に単に症状の有無を質問(純粋想起型質問)した場合,症状を自覚した患者は45.8%であった。次に自覚しなかった患者に具体的な症状や症状が生じた状況・きっかけなどの手がかりとなる情報を含む質問(助成想起型質問)をした場合,69.3%(全体の37.6%)が症状を自覚し,前者と合わせると全体の83.4%が症状を自覚した。また,症状を自覚した患者のうち72.0%は症状により睡眠に何らかの影響や支障があると回答した。 結論:日常診療において患者の症状や支障をより適切に抽出し把握するために,助成想起型の質問が有用と考えられる。さらに多種多様な症状の中でも睡眠関連事象に関しては,少ない質問で効率的に潜在する症状を抽出し把握できるため,臨床的意義も大きい。