特集 アレルギーと脂質メディエーター アップデート
Ⅹ.レゾルビンとアレルギー
齋藤(青木)悠
1
,
久田剛志
2
Haruka Saito(Aoki)
1
,
Takeshi Hisada
2
1群馬大学医学部附属病院呼吸器・アレルギー内科医員
2群馬大学医学部附属病院呼吸器・アレルギー内科診療教授
pp.388-397
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201803388
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生体は外傷や感染などが起こると速やかに反応し,急性炎症反応によって異物のクリアランスを行う。局所的での炎症反応は,その後速やかに消散し,組織の修復をもたらすことにより生物は外界との共生のなか「恒常性」を維持している。このような一連の過程は炎症の収束resolution of inflammationと呼ばれる。炎症の収束は炎症反応の減弱化と考えられてきたが,Serhan,有田らの研究により,受動的ではなく能動的な機序であることが明らかになってきた。このような炎症反応の調節機構はアレルギー,感染症のような炎症性疾患だけではなく,糖尿病,肥満,動脈硬化症などの代謝性疾患との関連性においても注目されている。なかでも炎症の収束における高度不飽和脂肪酸由来のケミカルメディエーターである「レゾルビン(Resolvin)」は強力な炎症収束能力を持ち,これらアレルギー疾患を含む炎症性疾患,代謝性疾患において新たな治療薬としての開発に期待が寄せられている。本稿ではアレルギー疾患のうち気管支喘息を中心に,脂質メディエーター「レゾルビン」の関与について紹介する。