特集 アレルギー疾患治療の最近の進歩と今後の動向
Ⅳ.皮膚科
井川健
1
Ken Igawa
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野准教授
pp.1366-1376
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201610040
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最近,これからの医療の目指すべき方向性の1つとして提唱されているものとして「precision medicine」がある。 近年の医学の進歩により,個人について以前に比べても膨大なデータが入手可能な時代となってきており,それらをもとに,より精密な患者個人の診断がなされ,同一疾患内においても,詳細なサブグループわけが可能となることが推測される。そのサブグループ毎に,治療法や予防法を確立して医療を深化させる,という考え方を「precision medicine」と称し,従来の「personalized medicine」を一歩進めたものととらえられている。 アレルギー疾患の分野においても,これから,このような考え方をもとにして,医療の再構築がなされることが推察される。本稿においては,皮膚科の分野におけるもっとも重要な疾患の1つであり,まさに「precision medicine」の考え方が適用されやすいと思われる疾患である,アトピー性皮膚炎について主に述べることとする。