特集 アトピー性皮膚炎の病態に基づいた新たなアプローチ
Ⅹ.病態に基づいた開発中の新たな戦略
井川健
1
Ken Igawa
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野准教授
pp.242-248
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201602080
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アトピー性皮膚炎(AD)は遺伝的,環境的要因が複雑に絡み合って発症,増悪が維持される慢性の炎症性皮膚疾患であると考えられる。適切な薬物療法,増悪因子の除去,スキンケアの励行,を並行して進めていく基本治療戦略により,多くの症例の皮膚症状は良好にコントロール可能である。3つの基本戦略のうち,「薬物療法」に関しては,ADの病態機序がだんだんと明らかにされるにしたがって,その機序に基づいた,より疾患特異性の高い治療法の開発がなされつつある。本稿においては,最近のこの分野における進歩を,我々のグループの試みも含めて概説することとする。