特集 痒みのメカニズム2016
Ⅹ.痒みの新しい治療戦略
室田浩之
1
,
田原真由子
2
,
片山一朗
3
Hiroyuki Murota
1
,
Mayuko Tahara
2
,
Ichiro Katayama
3
1大阪大学大学院医学系研究科皮膚科学教室准教授
2大阪大学大学院医学系研究科皮膚科学教室
3大阪大学大学院医学系研究科皮膚科学教室教授
pp.1258-1265
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201609082
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痒み感覚が掻きたい情動を引き起こす経路として皮膚の乾燥や炎症に起因する痒みがある。病変部からサイトカインや化学伝達物質など痒みを引き起こす様々な物質(起痒物質)が放出され,神経に作用することで痒みを誘発し,掻きたい情動を引き起こす。強い掻破は皮膚炎の悪化と痒みの増強を導く。アトピー性皮膚炎などの慢性炎症では皮膚の感覚過敏が生じており,痒み感覚が生じやすい。掻きたい情動が痒み感覚を誘発する経路の存在は中枢神経における痒み感覚のプロセシングのメカニズムの理解によって明らかにされつつある。本稿では痒みのメカニズムと対処法について最新の知見をもとに概説したい。