特集 痒みのメカニズム2016
Ⅱ.痒みと痛み:その類似性と相違点
倉石泰
1
Yasushi Kuraishi
1
1東京医科歯科大学リサーチアドミニストレーター室特任教授
pp.1193-1199
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201609017
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侵害刺激が皮膚表層に限局して加わると痒みが生じ,侵害刺激が強くなって真皮の深部にまで及ぶと痛みが生じると考えられる。痛みに重要な感覚神経のポリモーダルC線維はプロテイナーゼによる痒みにも関与するが,ヒスタミンによる痒みは機械刺激非感受性C線維が関与する。後角において介在性抑制ニューロンが痛み刺激による痒みの抑制に関与し,下行性ノルアドレナリン神経は痛みと痒みを共に抑制する。このように,痒みと痛みは生体警告信号として共通する性質を有するが,目的と反応の違いのために異なった機構・性質も有する。