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特集 進化と発生からみた生命科学
植物と動物の発生における相違点と類似点
Similarity and difference of development between metazoans and land plants
長谷部 光泰
1,2
Hasebe Mitsuyasu
1,2
1自然科学研究機構基礎生物学研究所生物進化研究部門
2総合研究大学院大学生命科学研究科
pp.261-266
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200166
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陸上植物は約5億年前に緑藻類から分岐した単系統群で,コケ植物タイ類,コケ植物セン類,コケ植物ツノゴケ類,小葉類,シダ類,裸子植物,被子植物を含んでいる。後生動物と陸上植物は,生物の中で多細胞化することによって複雑化した系統である。両者は,共通の祖先単細胞生物から後生動物の祖先単細胞生物と陸上植物の祖先単細胞生物が分岐し,そこからそれぞれ独立に多細胞化することで形成された。したがって,多細胞体制に関してほとんどの点が異なっており,両者の比較は多細胞生物の進化可能性,すなわち,地球上で生物が多細胞化して進化するときに,どんな手段を取り得たのかを理解することにつながっている。そして,どちらかの分類群では常識的なことが,他の分類群では非常識ということも多くみられる。また,両者は独立に進化したにもかかわらず,“仕組み”として類似している点もある。本稿では,最近の知見を交えて,両者の類似点と相違点を考えてみたい。
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