特集 免疫療法の現状と将来
Ⅴ.花粉症ワクチンの展望
石井保之
1
Yasuyuki Ishii
1
1国立研究開発法人理化学研究所産業連携本部創薬・医療技術基盤プログラムプロジェクトリーダー
pp.1090-1096
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201608048
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花粉症には原因抗原特異的に免疫応答を抑制するワクチンのアプローチが有効である。代表例は抗原を皮下投与する免疫療法でSCITと略される。SCITの短所の1つであるアナフィラキシー誘発の危険性を解消する舌下免疫療法(SLIT)が開発されたが更なる改良が求められている。花粉症ワクチンの最終目標は根本治療であることから,免疫寛容を成立させる必要がある。将来の花粉症ワクチンをデザインする場合には抗原特異性に加えて免疫寛容を誘導する制御性T細胞を誘導する工夫が要求される。