連載 記憶に残る症例(27)
ステロイドと気管支喘息治療-1974年と2016年の一症例
黒沢元博
1
Motohiro Kurosawa
1
1医療法人済恵会須藤病院アレルギー呼吸器科
pp.822-828
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201606072
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
ステロイドをはじめて喘息治療に使ったのはアメリカ人医師で,1950年のことであった。吸入ステロイド薬(ICS)が,わが国で使用されたのは1978年である。今日,ICSが喘息治療の長期管理薬として,第一選択薬であることに疑問の余地はない。これまでの背景には,世界的な気管支喘息に関する病態研究の進歩とステロイドの抗喘息作用機序解明における免疫薬理学的研究の飛躍的発展があった。 筆者の印象に残る1974年と2016年の一症例を紹介し,喘息治療におけるステロイド使用の歴史を辿り,現状を直視したい。