原著
アレルギー性鼻炎患者を対象としたディレグラ®配合錠の使用実態下での安全性および有効性の検討-使用成績調査(DEPARTURE Study)の結果-
黒野祐一
1
,
大久保公裕
2
,
奥泉薫
3
,
鈴木勝久
3
,
川内秀之
4
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
2日本医科大学大学院医学研究科 頭頸部・感覚器科学分野
3サノフィ株式会社 メディカル本部
4島根大学医学部 耳鼻咽喉科学
pp.1619-1638
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201511127
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本使用成績調査は,アレルギー性鼻炎患者を対象としたフェキソフェナジン塩酸塩/塩酸プソイドエフェドリン配合錠(製品名:ディレグラ®配合錠;以下,FEX塩酸塩/塩酸PSE配合錠)の使用実態下での安全性および有効性のデータを収集するために実施した。本調査では用法・用量に介入せず,日常診療における安全性および有効性データを電子的症例データ収集(Electronic Data Capture:EDC)システムを用いて収集した。安全性解析対象症例912例中,副作用は50例(5.48%)に57件認められた。3例以上の症例で認められた主な副作用は口渇,頭痛,動悸,不眠症,腹部不快感,腹痛,便秘および下痢であった。重篤な副作用は動悸1例(0.11%)のみで,転帰は回復であった。承認前に実施された臨床試験の成績と比較して,本剤の副作用発現頻度は高い傾向を示したが,副作用として示された事象はほとんど同じで特徴的なものは認められなかった。一方,本剤投与2週間時および観察期間終了時(投与8週間または投与中止時)の有効率は,それぞれ73.4%および79.8%で,臨床試験の成績と同様の有効性がみられた。また,臨床試験では検討されていない投与2週間以降において,遅発性の副作用や副作用発現頻度の増加,アレルギー性鼻炎症状に対する有効率の低下は認められなかった。FEX塩酸塩/塩酸PSE配合錠は,臨床試験の結果,そして本調査の結果も踏まえると,適正に使用する限りにおいて安全かつ有効な薬剤であると考えられる。