- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
フェキソフェナジン塩酸塩(FEX塩酸塩)/塩酸プソイドエフェドリン(PSE)配合錠(製品名ディレグラ®配合錠;以下,FEX塩酸塩/塩酸PSE配合錠)は日本において2012年12月にアレルギー性鼻炎を効能・効果として承認された。2016年に鼻アレルギー診療ガイドラインが改訂(第8版)され,第2世代抗ヒスタミン薬と血管収縮薬の配合剤は,通年性および季節性アレルギー性鼻炎患者の新しい治療選択肢の1つとして推奨されている。FEX塩酸塩/塩酸PSE配合錠の通年性および季節性アレルギー性鼻炎患者を対象とした使用成績調査(DEPARTURE試験)は2013年9月から2014年7月に実施され,治験時に得られた以外の未知,もしくは問題となる安全性シグナルは同定されず,安全性解析集団(912例)の副作用発現率は5.5%で,重篤な副作用は1例のみで報告された。観察期間終了時の全般改善度の有効率は79.8%で,本剤投与により鼻・眼症状,日常生活の支障度および局所所見の症状も有意に改善された。本稿では,DEPARTURE試験において事前に計画された副次的調査である,患者申し出による鼻症状評価(Patient-reported outcomes〔PRO〕)および生活の質(Quality of life〔QOL〕)評価の結果を報告する。 PROおよびQOL評価は,ガイドラインで推奨される日本人に特化し,鼻・眼の自覚症状,QOLおよび総括的状態(face scale)をそれぞれ評価する3つのパートに分かれた日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票(JRQLQ No.1)を用いて実施した。観察期間は本剤の初回投与開始から8週間とした。本副次的調査を承諾した患者のうち371例について,それぞれの評価を完了した。本剤は,投与前と比較しすべての自覚症状,QOL(17項目)および総括的状態(各平均スコア値)さらに320例で評価した他覚的臨床所見を,いずれも約40~70%の割合で有意に改善した(p<0.001)。アレルギー性鼻炎の型別(通年性および季節性)に関わらず,本剤の改善効果が認められた。 本PRO調査の結果は,日本人通年性および季節性アレルギー性鼻炎患者においてFEX塩酸塩/塩酸PSE配合錠が日本人に特化したQOLスコアのすべての項目を有意に改善することを示し,鼻アレルギー診療ガイドライン(2016年版)でアレルギー性鼻炎の治療選択肢の1つとして推奨されている鎮静効果が弱い第2世代抗ヒスタミン薬と血管収縮薬の配合剤の有用性を支持するものと示唆された。