特集 職業アレルギーと職業・環境関連免疫異常疾患
III.低濃度化学物質曝露が及ぼすアレルギー疾患への影響 3.生体に対するホルマリンの影響即時型アレルギー症例の解析結果からの考察
田中祐輔
1
,
山口正雄
2
Yusuke Tanaka
1
,
Masao Yamaguchi
2
1帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学
2帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学 教授
pp.964-968
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201507056
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我々は最近ホルマリンにより即時型アレルギーを発症した症例を解析する機会を得た。特異的IgEは陽性であるのに対し,好塩基球ヒスタミン遊離はホルマリンが時間をかけてアルブミンと濃厚に結合する工程をあらかじめ必要とした。ホルマリンアレルギーの診断において血清IgE抗体検査の信頼性が高いと言われているのに対し,即時型皮膚反応検査や好塩基球ヒスタミン遊離試験結果の信頼性は劣ると従来考えられてきた。これらの検査の信頼性に乖離が生じる理由として,小分子ホルムアルデヒドの特性(タンパク結合の遅さ)とIgEとの反応性の特徴(ホルムアルデヒドがタンパクと濃厚に結合することが必要)がおそらく関与しており,これらは臨床像とも深く関連すると考えられる。