豆知識
染色反応に及ぼす非緩衝ホルマリンの影響
pp.690
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905859
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通常,ホルマリン固定液は10倍希釈の局方ホルマリン水溶液を利用する.しかし,ホルマリン自体の,強い組織凝固収縮作用のために,組織表面が,固く硬化した層を作り,ホルマリン濃度,固定時間によっては,組織の深部への浸透が思わしくないことがある.長く固定液に浸漬した組織では,核の染色性が低下し,通常のヘマトキシリンでは染まりが悪いことがあり,このような場合には,ワイゲルト(Weigert)の鉄ヘマトキシリンで30分間程度染色するとよい結果が出ることが多い.また,核酸自体が断片化し,核外に溶出し,フォイルゲン反応,メチルグリーン・ピロニン染色に代表される核酸染色にも支障をきたすことになる.局方ホルマリン固定後,アルコール(特にメタノールは,ある程度のホルマリン色素の除去や,子宮などの硬化組織を軟らかくする)に入れておけば,染色性の低下は防止できるが,緩衝ホルマリンを用いて,染色性の低下を防ぐ方法もある.
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