特集 喘息とCOPDのオーバーラップ症候群(ACOS)をめぐって
II.疫 学
佐野博幸
1
,
東田有智
2
Hiroyuki Sano
1
,
Yuji Tohda
2
1近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科 准教授
2近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科 主任教授
pp.500-506
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201504022
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気管支喘息とCOPDのオーバーラップ症候群であるACOSは,高齢者では加齢や長期罹患による気道リモデリングの影響などが混在するためにその正確な診断は困難であり,疫学調査の結果にもばらつきが生じる。これまでに報告されているACOSの有病率は,40歳以降では約2~3%であり,65歳以上になると4%以上に増加する。一方,気管支喘息と診断される患者では高齢になるほどCOPDの合併率が上昇し,65歳以上の高齢者では40~60%に認められるが,COPD患者で気管支喘息が合併するのは概ね20~30%と頻度は低下する。 この合併率の違いは,元々,COPDが加齢によって有病率が増加する疾患である一方で,気管支喘息は若年者の方が高い有病率を示すことも一因である。