かぜひき・インフルエンザ・肺炎
疫學
福見 秀雄
1
1豫防衛生研究所
pp.16-18
発行日 1951年2月10日
Published Date 1951/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200031
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風邪,インフルエンザ,肺炎と並べて三つ書いてみると,いかにもはつきりした三つの病氣のようである。けれども,諸君が實際に當つてみられると,ちつともはつきりしないことはすぐわかる。第一に,風邪とインフルエンザの區別など,甚だ厄介なものの一つである。
昔,インフルエンザの病原體がはじめて發見分離されたときに,スチューアート・ハリスというイギリスの學者がその臨牀症状及び流行の模樣等からインフルエンザと風邪とをある程度まで區別し,世間は大體その意見に一致したようてあつた。勿論このとき,スチュアート・ハリスの言うインフルエンザとは,インフルエンザ・ヴィールスによつておこる呼吸器を言つたわけで,それ以外の,つまりこのヴィールスの發見されないものを(勿論症状はそれに似ていて)風邪といつたのである。
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