特集 汗とアレルギー
V.汗と角層水分量~バリア機能に与える影響
菊地克子
1
Katsuko Kikuchi
1
1東北大学大学院医学系研究科皮膚科学講座講師
pp.403-409
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201503049
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皮膚の最外層の角層は,バリア機能と保湿機能に重要な構造である。アトピー性皮膚炎患者皮膚ではバリア機能低下ならびに保湿機能の低下が認められる。天然保湿因子NMFは,水と結びつきやすい低分子成分であり,角層の吸水能ならびに水保持能に重要である。アトピー性皮膚炎患者の角層保湿機能低下には,フィラグリン由来NMFの減少だけでなく,乏汗による汗由来NMFの減少も関係している。乾燥皮膚では,角層の柔軟性が低下するため亀裂形成を来しやすく,痒み過敏状態にあるため搔破によりバリア損傷を生じやすい。