連載 アレルギー疾患の治療薬(17)
耳鼻咽喉科領域 抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬
岡野光博
1
Mitsuhiro Okano
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学准教授
キーワード:
CRTH2
,
TP
,
ラマトロバン
,
鼻閉
Keyword:
CRTH2
,
TP
,
ラマトロバン
,
鼻閉
pp.1978-1985
発行日 2014年11月15日
Published Date 2014/11/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201412150
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アレルギー疾患治療薬として現在市販されている唯一の抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬はラマトロバンである。ラマトロバンはプロスタグランジンD2受容体の1つであるCRTH2とトロンボキサンA2受容体であるTPの両者をブロックするデュアルアンタゴニストである。CRTH2を介するシグナルは鼻粘膜局所の好酸球浸潤を促進し,またTPを介するシグナルは鼻粘膜の血管透過性亢進や鼻腔抵抗の上昇に寄与する。ラマトロバンはこれらのシグナルをブロックすることによりアレルギー性鼻炎の三主徴,特に鼻閉に高い臨床効果を示す。鼻アレルギー診療ガイドラインでは,中等症以上の鼻閉型または鼻閉を主とする充全型への使用を,さらに花粉症では初期療法薬としての使用が推奨されている。