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目的:ドライパウダー型吸入ステロイド薬(ICS)/長時間作用性β2刺激薬(LABA)配合薬アドエア®ディスカス®を一定期間使用後,ほとんどの喘息患者はwell-control状態となるが,その末梢気道には依然として炎症が残存している可能性がある。このような残存炎症に対し,定量噴霧式エアゾール型(MDI)のICS/LABA配合薬フルティフォーム®は有効かを検討した。 方法:アドエア®ディスカス®を4週間以上安定使用し,Asthma Control Test(ACT)20点以上のwell-control状態となった中等症持続型の喘息患者に対し,呼気一酸化窒素濃度(FeNO)を測定し,30 ppb以上あった患者32名を対象とした。アドエア®ディスカス®継続群(SFC群)16例とフルティフォーム®切換え群(FFC群)16例に,無作為に割付け,開始時,2週間後,4週間後に,誘発喀痰中Eosinophil Cationic Protein(ECP)値,FeNO値の測定を各々行い,呼吸機能検査とモストグラフの各指標の推移も検討し,両群で比較した。Asthma Control Questionnaire(ACQ)5スコアによる喘息状態も検討した。 結果:中枢気道炎症を反映する早期相誘発喀痰ECP値は,FFC群・SFC群ともに有意な変化はなかった。FFC群において4週間後,末梢気道炎症を反映する遅発相誘発喀痰ECP値で有意な改善を認めたが(p=0.019),SFC群では改善はなかった。さらに,4週間後,FFC群においてFeNO値の有意な改善を認めたが(p=0.025),SFC群では改善を認めなかった。今回の4週間の検討期間中,両群とも呼吸機能検査やモストグラフ指標各値に有意な変化を認めなかった。FFC群において,ACQ-5に改善傾向を認めた。両群とも試験を中止すべき副作用及び有害事象はなかった。 結論:新規MDI型吸入薬フルティフォーム®はドライパウダー型ICS/LABA配合薬を使用中の患者の末梢気道に残存する好酸球性炎症を改善できる可能性がある。