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目的 日常臨床でドライパウダー型吸入薬(DPI)を一定期間使用後も安定しない一因に,吸入手技操作のミス(ピットホール)があり,定量噴霧式エアゾール型吸入薬(MDI)への変更で改善することがある。今回,MDI型製剤フルティフォーム®に切換えた際,どのようなピットホールが生じ,吸入指導で短期間に改善するか検討した。 方法 DPI型デバイス,ディスカス®を3カ月以上使用しても安定状態に至らない,軽症~中等症持続型の喘息患者40名(66.9±14.4歳)を対象に,フルティフォーム®に切換えた。切換えでどのようなピットホールが生じ,吸入指導後2週間で是正可能か検討した。Asthma Control Questionnaire(ACQ)6を用いた喘息コントロールの変化とデバイスに対する患者印象も調査した。 結果 切換え時に,「ボンベが固くて押し難い」,「呼吸同調が困難」,「キャップが開けにくい」等のピットホールが各々25.0%,25.0%,20.0%の患者で発生したが,2週間後には各々2.5%,7.5%,7.5%まで減少した。一方,「吸入前の振り忘れ」のピットホールが,2週間後に5.0%から10.0%へ増加した。ACQ6は,2週後有意に改善した(p=0.032)。デバイスに対する患者印象は,全体の38.5%が「フルティフォーム®が良い」と答え,43.6%は「どちらも良い」と答えた。 結論 フルティフォーム®の吸入手技操作は簡便で,切換え時のピットホールの多くは,吸入指導後,短期間で改善できる。切換えで喘息コントロールが有意に改善しており,観察されたピットホールに注意し,吸入指導することで,より高い治療効果が期待できる。患者自身がピットホールに気付かない場合や,新規発生例があり,特に高齢者では継続的な吸入指導が必要である。