特集 喘息の周辺疾患
X.アナフィラキシー
小林信之
1
Nobuyuki Kobayashi
1
1国立病院機構東京病院統括診療部長
pp.666-674
発行日 2014年3月15日
Published Date 2014/3/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201404084
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アナフィラキシーは特定の原因物質により惹起される急性で重篤な全身性の即時型アレルギー反応である。アナフィラキシーの機序については,免疫学的機序(IgE依存性,IgE非依存性),非免疫学的機序の3種類に分類される。その反応はマスト細胞や好塩基球からのケミカルメディエーターの遊離によって起こり,皮膚,呼吸器,心血管系,消化器,中枢神経系など多臓器の症状を呈し,致死的となることもある。診断基準としては,World Allergy Organizationのガイドラインによる基準が広く用いられている。アナフィラキシーに対する初期治療の第1選択薬はアドレナリンの筋注であり,必要に応じて反復して投与する。喉頭浮腫による上気道閉塞と心血管系異常の有無を即座に判断し,迅速な気道確保,血管確保を開始する。再発防止策としてアドレナリン自己注射用製剤(エピペン®)の処方,緊急時の対応の指導,原因の確定とその対策(回避,免疫学的介入)が重要である。