連載 記憶に残る症例(2)
〈1〉 Wheezing Pulmonary Emphysema(喘鳴を伴う肺気腫)の症例-形態的に実証された肺気腫と喘息(症状)のオーバーラップ症例-と 〈2〉 喘息と診断されたalpha-1-antitripsin欠乏性肺気腫の症例
牧野荘平
1
Sohei Makino
1
1上武呼吸器科内科病院院長
pp.1716-1721
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201311164
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喘息とCOPD(肺気腫)はともに慢性呼吸器疾患のほとんどを占め,ともに一般人口の数%を占め,両者がオーバーラップすることはありうることである。〈1〉 高齢重症喘息と考えられた患者が肺気腫を合併していたことを,選択的気管支肺胞造影で形態的に実証した。Wheezing Pulmonary Emphysema(WPE)(喘鳴を伴う肺気腫)と呼んだ。さらに,このWPEは気道閉塞の可逆性を示し,喘息とCOPDの中間的位置を示すものであった。〈2〉 米国中西部ウィスコンシンでalpha-1-antitripsin欠乏性肺気腫を経験し,その約半数では初期診断が喘息であった。比較的若年での発症と喘鳴の存在がその原因と考えられた。また,血中alpha-1-antitripsinが測定限界で肺気腫発症が22歳の若年発症であった例にふれた。