総説
“Early Supporting Use”:早目の追加治療による軽症喘息児ケアの新たな可能性
勝沼俊雄
1
,
吉原重美
2
Toshio Katsunuma
1
,
Shigemi Yoshihara
2
1東京慈恵会医科大学附属第三病院小児科
2獨協医科大学小児科
pp.426-435
発行日 2013年2月15日
Published Date 2013/2/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201303094
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私たちはPETスタディを通して,上気道炎症状発現時,早期のツロブテロール貼付薬(TP)使用が,その後の呼吸器症状進展を抑制することを示した。さらにPARGスタディ,PEACOCスタディを通じて,抗炎症治療に対するTP追加治療の有効性を示した。特にPETスタディでは,従来のように喘息症状が「悪くなってから」ではなく,「悪くなりそうな早い段階」におけるTP使用の有用性が示されたといえる。筆者はこのような用い方を“Early Supporting Use”とでも呼ぶべき新しい喘息管理方法と考えている。近年,ICS使用においても,“Early Supporting Use”的間欠使用方法の有用性が報告された。筆者はEarly Supporting Useの利益を以下のように想定する。〈1〉 気道症状増悪リスクを軽減することにより児の健康とQOLを支えられるのではないか。〈2〉 小児の気道症状・喘息症状の進展抑止により親(養育者)の安心とQOLを支えられるのではないか。〈3〉 拙速な治療ステップアップの回避により長期的副作用リスクを免れるのではないか。Early Supporting Useは喘息児と家族を支える新たな選択肢と考える。