特集 アレルギー疾患における特異抗体の意義
III.アレルゲン特異抗体の新しい意義 3.アレルゲン特異的IgA抗体
下条直樹
1
Naoki Shimojo
1
1千葉大学大学院医学研究院小児病態学准教授
pp.93-99
発行日 2012年12月15日
Published Date 2012/12/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201301093
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IgA抗体は粘膜免疫において重要な役割を果たす免疫グロブリンであり,粘膜免疫の異常が病態に関連するアレルギー疾患においてもその関与が容易に想像される。現在までのアレルゲン特異的IgAの意義についての研究をまとめると,〈1〉 アレルギーの抑制には分泌型IgAの役割が大きい,〈2〉 血中IgAの絶対量は必ずしもアレルギー発症抑制とは関連せずIgEなどとの比率が重要である,と考えられる。今後,分泌型アレルゲン特異的IgA産生を促進する手法の開発が,アレルギー疾患の治療および発症予防の鍵となると考えられる。