Japanese
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特集 B型肝炎の現状とワクチン定期接種化の意義
1.B型肝炎ウイルスのウイルス学的特徴
Virological features of hepatitis B virus
上田啓次
1
Ueda Keiji
1
1大阪大学大学院医学系研究科感染症・免疫学講座ウイルス学 教授
キーワード:
ヘパドナウイルス
,
肝炎ウイルス
,
逆転写
,
cccDNA
,
NTCP
Keyword:
ヘパドナウイルス
,
肝炎ウイルス
,
逆転写
,
cccDNA
,
NTCP
pp.29-35
発行日 2017年10月25日
Published Date 2017/10/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201711029
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B型肝炎ウイルス(HBV)は,ゲノム構造,遺伝子,複製過程など多くの側面において,ウイルス学的にも際立った特徴を有するウイルスである。ゲノムは3.2kb前後でウイルスゲノムの中ではもっとも小さい部類に属し,二本鎖DNAゲノムであるが,(-)鎖DNAの5'端には末端タンパク(HBVポリメラーゼ)が共有結合し,(+)鎖は完全長にならず,不完全二本鎖DNAとなっている。遺伝子としては,preC-CおよびHBVポリメラーゼをコードするもの,膜粒子SタンパクをコードするものとX遺伝子をコードするものの3つであり,互いにオーバーラップしながらコンパクトに配置されている。複製過程は,DNAウイルスでありながらプレゲノムRNAを鋳型にした逆転写過程をもつ。生活環には不明な点が多く,詳細な解明が急がれている。