Japanese
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特集 蚊媒介性ウイルス感染症理解の最前線
6.日本脳炎
Japanese encephalitis
田島茂
1
Tajima Shigeru
1
1国立感染症研究所ウイルス第一部 主任研究官
キーワード:
日本脳炎
,
日本脳炎ウイルス
,
不活化細胞培養ワクチン
,
遺伝子型
Keyword:
日本脳炎
,
日本脳炎ウイルス
,
不活化細胞培養ワクチン
,
遺伝子型
pp.87-95
発行日 2017年7月25日
Published Date 2017/7/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201708087
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日本脳炎は蚊によって媒介される日本脳炎ウイルスの感染により引き起こされる。感染してもほとんどの場合は不顕性であるが,発症すると致死率は約30%であり,また回復しても半数近くの患者が後遺症を残す。近年の国内患者数は年間10例以下で推移してきたが,2016年は25年ぶりに10例を超えた。2009年よりマウス脳由来ワクチンに代わり細胞培養ワクチンの接種が開始され,小児では高い抗体保有率が維持されている。一方,中高齢者では抗体保有率が著しく減少しており,患者も多くが高齢者である。近年,韓国では,これまでと異なる遺伝子型のウイルスが広がりつつあり,同時に日本脳炎患者数も増加傾向にある。このタイプはいまのところ国内では確認されていないが,今後の動向を注視していく必要がある。