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特集 次世代シーケンサーが可能にした感染学の新しい展開
4.臨床への応用(Clinical sequencing) 2)院内感染の高精度分子疫学解析
Ultra-high resolution molecular epidemiological analysis of hospital acquired infection
後藤恭宏
1
Gotoh Yasuhiro
1
1九州大学大学院医学研究院細菌学分野 助教
キーワード:
院内感染
,
分子疫学
,
全ゲノム
,
次世代シーケンサー
Keyword:
院内感染
,
分子疫学
,
全ゲノム
,
次世代シーケンサー
pp.127-136
発行日 2017年6月25日
Published Date 2017/6/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201707127
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院内感染の同定・解析には種々の分子疫学的解析法が用いられてきた。しかし,従来の手法はおもに型別を目的とした方法であり,限られた遺伝情報しか得られないため,きわめて近縁な分離菌株の識別は不可能であった。院内感染の感染経路などを把握するには分離菌株の正確な識別が必要であり,そのためには全ゲノムの遺伝情報が有用かつ必要である。次世代シーケンサー(NGS)を用いることにより,一度に多数の分離菌株のゲノム配列を取得することが可能であり,院内感染の解析において強力なツールとなる。NGSを用いた解析では,感染症学や臨床細菌学の知識や技術だけでなく,大量な配列データを取り扱える情報処理能力も必要となる。本稿ではNGSを用いた院内感染解析の一般的な手順や手法を紹介し,現時点での課題等についても概説する。