新連載 カラーグラフィック
感染症診断と病理
1.感染症の病理診断の意義-臨床的に疑われなかった感染症-
堤寬
1
Tsutsumi Yutaka
1
1はるひ呼吸器病院病理診断科 病理部長
pp.5-14
発行日 2017年6月25日
Published Date 2017/6/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201707005
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細胞診クラス分類や胃生検のグループ分類に象徴されるように、病理診断の現場は悪性腫瘍の診断に重点がおかれがちで、感染症の質的診断は不十分になりがちである。一方、クリプトスポリジウム症、病原性大腸菌O-157感染症などの新興感染症や、マラリア、リーシュマニア症といった再興・輸入感染症の病理標本に接する機会はあるし、多様な日和見感染症が容赦なく病理医を訪れるだろう。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による院内感染や肺結核の剖検例に遭遇することも珍しくない。