Japanese
English
特集1 Antimicrobial Stewardship Program(ASP)の理論と実際
2.ASP推進のための各職種の役割と環境整備
Team build and system to promote ASP
藤田直久
1
Fujita Naohisa
1
1京都府立医科大学感染制御・検査医学 病院教授
キーワード:
感染症診療
,
役割
,
環境整備
,
多職種
Keyword:
感染症診療
,
役割
,
環境整備
,
多職種
pp.30-38
発行日 2016年10月25日
Published Date 2016/10/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201611030
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感染症はどの診療科でも遭遇する疾患であり,感染症専門の医師のみならず,それ以外の医師においても「適切な感染症診療」が必要である。耐性菌の蔓延を目の当たりにしている現在,抗菌薬適正使用支援プログラム(Antimicrobial Stewardship Program:ASP)は世界の感染症診療における潮流となっており,国ごとの医療事情,施設ごとの環境にあわせてASPが実施されている。わが国においても,耐性菌出現防止,医療費削減,さらに診療報酬加算の点からもASPの実施は避けられない状況にある。一方で,感染症診療に精通している医師,抗菌薬使用に関する知識と実践的経験をもつ薬剤師も決して十分とは言えない。さらに,多くの病院は施設内に感染症検査室をもたず感染症検査は外部委託となっているため,臨床検査技師はいるものの感染症検査に精通する技師が少ないため適切な感染症診療に直結できていないこともASPの普及を妨げている。近年,感染症への関心は高まり感染症診療への教育は充実しつつあるが,全体的に見ると感染症診療への医療従事者の意識はまだまだ十分ではない。このような状況をふまえ本稿では,わが国の医療状況を考慮した「日本版ASP」推進のために職種ごとのASPに果たす役割とそれを円滑に進めるための環境整備について述べる。