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特集 非結核性抗酸菌症の今日的問題
11.生物学的製剤使用例における非結核性抗酸菌症への対応
Practice management of nontuberculous mycobacteriosis in patients treated with biological agents
高柳昇
1
Takayanagi Noboru
1
1埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科 科長兼部長
キーワード:
非結核性抗酸菌症
,
関節リウマチ
,
生物学的製剤
Keyword:
非結核性抗酸菌症
,
関節リウマチ
,
生物学的製剤
pp.99-107
発行日 2016年7月25日
Published Date 2016/7/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201608099
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関節リウマチ(RA)や炎症性腸疾患などの特定の炎症性疾患に対して著しい効果を発揮する腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬などの生物学的製剤は感染免疫の抑制機序を介して感染症が増加することが知られている。本稿では非結核性抗酸菌(NTM)症に焦点を当てて解説する。生物学的製剤使用ガイドラインは当初,NTM症合併例には生物学的製剤は禁忌であるとしていた。現在,RA治療の根幹をなしている考え方はtreat to targetという考え方である。ある薬剤を投与したら,低疾患活動性または寛解を目標とし,定期的に効果判定を行い,目標(target)達成ができなければ治療薬(treat)を変更していくというものである。NTM症合併例でもtreat to target戦略を用いるが,生物学的製剤以外の薬剤で目標達成できない多くの症例が取り残された。それらの症例に生物学的製剤を投与したところ,比較的安全に投与できることが明らかとなってきた。これらの報告をもとに“生物学的製剤と呼吸器疾患:診療の手引き”が公表され,条件付きでNTM症合併例に対して生物学的製剤投与の可能性の道が開けた。実感が得られるように,NTM症合併RA例に対する生物学的製剤投与までの判断と,投与開始後に求められる判断の過程について仮想症例をもとに考察した。