連載 画像から読み解く感染症(14)
Ⅵ 上腹部・消化管 1.肝膿瘍
Ⅵ 上腹部・消化管 1.肝膿瘍
入江 裕之
1
,
野尻 淳一
2
,
江頭 秀哲
3
Irie Hiroyuki
1
,
Nojiri Junichi
2
,
Egashira Yoshiaki
3
1佐賀大学医学部放射線科 教授
2佐賀大学医学部放射線科 講師
3佐賀大学医学部放射線科 助教
2
pp.4-12
発行日 2016年7月25日
Published Date 2016/7/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201608004
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肝膿瘍は起炎菌により,細菌性,アメーバ性,真菌性に分類される。肝膿瘍の特徴的画像所見として“double target sign”があるが,これはリング状濃染を示す膿瘍壁とその周囲の肝実質の浮腫性変化を反映している。病変周囲に区域性濃染が描出されることもある。細菌性肝膿瘍は,CTでは低吸収域,MRIのT2強調像では著明な高信号域の集簇像として描出され,多発することも多い。アメーバ性肝膿瘍は右葉後区域に好発し単発性で円形または卵円形の形態を呈することが特徴である。真菌性肝膿瘍は多発性微小膿瘍として描出されることが多い。肝膿瘍の鑑別診断として胆管細胞がんや嚢胞性肝転移があるが,前者は遅延性増強を示すこと,後者は拡散強調像で低信号を呈することで鑑別可能である。