Japanese
English
特集 HIV感染症の流行はまだ続いている
5.HIV/HBV重複感染症例における治療上の留意点
Clinical features and treatment of HIV/HBV co-infection
石田永
1
,
三田英治
2
Ishida Hisashi
1
,
Mita Eiji
2
1国立病院機構大阪医療センター消化器内科 副科長
2国立病院機構大阪医療センター消化器内科 科長
キーワード:
HIV/HBV重複感染
,
HBV genotype A
,
薬剤耐性株
,
感染予防
Keyword:
HIV/HBV重複感染
,
HBV genotype A
,
薬剤耐性株
,
感染予防
pp.57-65
発行日 2016年4月25日
Published Date 2016/4/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201605057
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HIVと重複感染するB型肝炎ウイルス(HBV)は慢性化のリスクが高いgenotype Aが非常に多い。重複感染症例はHIV感染者の6~14%と言われており,常にそれを念頭においた診療が必要である。治療に当たっては,薬剤耐性株の誘導を避けるため慎重に薬剤を選択する必要がある。特に核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)として,ラミブジン(3TC)単独であればHBVにM204V/I変異が,エンテカビル(ETV)の単独使用でHIVにM184V変異が生じる可能性がある。そのため抗HIV療法(ART)は,HBV抑制効果の強いテノホビル(TDF)を含むTDF/エムトリシタビン(FTC)もしくはTDF+3TCをキードラッグとするレジメンを用いる。ただし,HBVの十分な抑制が得られるまでのあいだは免疫再構築症候群(Immune reconstitution inflammatory syndrome:IRIS)による肝障害に注意が必要である。また,MSM(men who have sex with men)にはHBV感染の予防策を積極的に講じるべきである。