提供記事 第89回日本感染症学会学術講演会 ランチョンセミナー
HIV/肝炎ウイルス重複感染における最新の治療戦略
四柳宏
1
,
潟永博之
2
,
古庄憲浩
3
1東京大学医学部附属病院 感染症内科
2国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター
3九州大学病院 総合診療科/九州大学大学院 感染制御医学
pp.108-116
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201509108
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ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者において,B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)が重複感染している症例は少なくない。HIV/肝炎ウイルス重複感染では,肝炎の病態進展が加速する傾向にある一方で,重複感染が見落とされているケースも散見される。 HIV/肝炎ウイルス重複感染の近年の状況と問題点をふまえ,最新の治療戦略を探るランチョンセミナーが4月17日,第89回日本感染症学会学術講演会(京都)で開催された。 国立国際医療研究センターの潟永博之先生は,HIV/HBV重複感染に対して,両ウイルスに強力な抑制作用をもつテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)を含む抗レトロウイルス療法(ART)が有用であることを指摘した。また,九州大学病院の古庄憲浩先生は,最近導入された直接作用型抗ウイルス薬(DAAs:Direct Acting Antivirals)によって抗HCV治療の効果が飛躍的に向上していることを紹介し,HIV/HCV重複感染治療に果たすDAAsの役割について期待を寄せた。