臓器障害・生理機能に対応した抗菌薬の適正使用 2.特殊な患者に対する抗菌薬の使用方法-種類の選択・用法用量設定・適正使用-
4)重症患者における抗菌薬加療戦略-抗菌薬過少投与に対する警鐘-
松本敬
1
,
林淑朗
2
Matsumoto Takashi
1
,
Hayashi Yoshiro
2
1亀田総合病院集中治療科 フェロー
2亀田総合病院集中治療科 部長
キーワード:
: 分布容積
,
Augmented renal clearance
,
低アルブミン血症
Keyword:
: 分布容積
,
Augmented renal clearance
,
低アルブミン血症
pp.77-82
発行日 2016年2月25日
Published Date 2016/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201603077
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重症患者の感染症において,抗菌薬治療は輸液蘇生とならび,その中核を成すものである。適切な抗菌薬を適切なタイミングで投与することの重要性はほとんどの臨床医が認識するところであるが,適切な抗菌薬が適切なタイミングで投与されたとしても,その投与量が不十分であれば当然期待する効果は得られない。だが,この点についての議論は軽視されがちである。重症患者では,疾患に対する生体反応によりさまざまな生理学パラメータの正常からの大きな逸脱が起こり,さらに大量輸液,昇圧剤投与をはじめとする介入によって体内での薬物動態が大きく変化する。本稿では,抗菌薬の投与量に影響を与える因子のうち,特に重症患者において考慮すべきものについて解説する。