臓器障害・生理機能に対応した抗菌薬の適正使用 2.特殊な患者に対する抗菌薬の使用方法-種類の選択・用法用量設定・適正使用-
5)妊婦
林昌洋
1
Hayashi Masahiro
1
1虎の門病院薬剤部 部長
キーワード:
: 抗菌薬
,
妊婦
,
薬物体内動態の変化
,
催奇形性
Keyword:
: 抗菌薬
,
妊婦
,
薬物体内動態の変化
,
催奇形性
pp.83-90
発行日 2016年2月25日
Published Date 2016/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201603083
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妊婦への抗菌薬投与では,感染症治療上の必要性,母児感染予防上の必要性とともに,感染症が妊娠経過と胎児に及ぼす影響,妊娠期の薬物体内動態の変化を考慮した上で,胎児に悪影響を及ぼさない薬物を選択する必要がある。胎児毒性に関しては,レジストリー研究,ケース・コントロール研究,コホート研究などの結果が判断根拠として利用できる。また,「産婦人科ガイドライン産科編2014」も科学的根拠に基づく判断根拠を提示しており参考になる。妊娠中は糸球体濾過量が増加することが知られており,腎排泄型抗菌薬であるβ-ラクタム系抗生物質などの腎クリアランスが増加し,薬物血中濃度が低下する可能性があり,重症感染症の治療においては投与量調節が必要となる可能性がある。