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特集 持続感染・潜伏感染の機序と病態
8.結核菌の潜伏感染に関わるメカニズムと新しい結核制御技術の可能性
The molecular mechanisms of latent tuberculosis infection and possibilities of the development of effective control strategies against tuberculosis
松本壮吉
1
,
西山晃史
2
,
尾関百合子
3
Matsumoto Sohkichi
1
,
Nishiyama Akihito
2
,
Ozeki Yuriko
3
1新潟大学大学院医歯学総合研究科細菌学分野 教授
2新潟大学大学院医歯学総合研究科細菌学分野 講師
3新潟大学大学院医歯学総合研究科細菌学分野 助教
キーワード:
結核
,
休眠
,
ワクチン
,
潜在性結核
,
内因性再燃
Keyword:
結核
,
休眠
,
ワクチン
,
潜在性結核
,
内因性再燃
pp.93-100
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201509093
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結核は三大感染症の一角であり,代表的な再興感染症である。病原体である結核菌はアフリカの東岸に5~10万年前に出現し,人類の出アフリカにともない世界に伝播した。通常,菌は飛沫核感染で肺を侵入門戸として生体に侵入し感染するが,すみやかに発症に至るケースは5%程度とまれである。一方,感染成立後,ヒトの免疫系は菌を生体から駆逐することはできず,感染は宿主の命が果つるまで継続する。このような無症候感染者は人類の1/3に及び,一部は再燃により結核が発症する。このため無症候感染は潜在性結核と呼ばれる。このような事実は,病原体の源泉である潜在性結核の対処が結核の制御に重要であることを示しており,潜伏感染機構の理解はそのよりどころとなるだろう。本稿では,結核菌の潜伏感染機構についての知見と,潜在性結核の解析をベースにした新しい制御法開発の可能性について述べる。